七夕節の紹介
牽牛織女の物語

 七夕節(今年は8月6日)は、古代の星の神話がルーツだ。古代人は夜空
を仰いで、さまざまな連想をめぐらせた。それによれば、銀河の東側にある
わし座の3つの星は、牽牛(中国では牛郎と呼ばれる)が天秤棒で2人の子
どもを担いでいるように見える。また、銀河の西側にある琴座の織女星と、
そばに見える2つの星を機織りの梭にたとえると、東南の4つの星は織り機
のように見える。

  この2つの星図は、まさしく「男は耕し、女は機を織る」という農家の暮ら
しに即している。そのため、3000年あまり前の周の時代から、これらの星の
伝説が生まれたのだ。後漢の時代(25〜220年)以降、それはしだいに牽牛
織女の恋物語と七夕節に発展してきた。

 七夕の物語とは――7月7日、天にいた7人の仙女たちが、白いハトになっ
て地上の河辺へと飛んできた。仙女たちが羽衣を脱いで水浴びをしていた
その時、牽牛が飼い牛の助言によって七仙女(7番目の仙女)の羽衣を盗
み、求婚をした。七仙女は天に帰れなくなり、仕方がないので牽牛と夫婦に
なった。牽牛が畑を耕し、七仙女が機を織り、そうして1男1女にめぐまれた。

  しかし、仙女が人間と結ばれては、天の法を犯すことになる。西王母(古
代神話の女神)はたいそう怒り、地上の七仙女をつかまえて天へと戻った。
牽牛は死んだ飼い牛が最後に話したことを思い出した。そして、そのふしぎ
な牛皮をはおり、子どもを入れたかごを担いで七仙女を追っていった。いま
にも追いつこうというその時、西王母が玉のかんざしでサーッと線をひくと、
たちまち天の川ができて、牽牛織女の2人を隔てた――。

 この悲恋物語に文人たちは感動し、牽牛織女を詠みこんだ多くの詩歌が
つくられていった。また、カササギも深く感動したとされている。七夕になると
カササギは天の川に集まって、互いの尾をくわえて橋をかけ、牽牛と織女を
橋の上で会わせたという。こうしてこの日、カササギは頭の羽がすこし落ち、
体が水でぬれるのだそうだ。



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